原料すべてが自家製・富士宮産。地ビール「フジヤマLOVER'Sセゾン」の販売が待ち遠しい。

ここ数年、地ビール、クラフトビールが人気だ。地方の小規模会社で造られるローカル色の強いビールのことだが、その定義は実はあいまい。原料のうち水だけが地元のもので、それ以外がすべて外国産であっても「地ビール」と呼ばれることもある。そのことに疑問を感じ、「すべての原料を富士宮産でそろえた本当の地ビールを造りたい」と考えたのが、旧芝川町・柚野(ゆの)地区の深澤さんだ。
今までになかったから、自分たちで造った。納得のいく地元素材で満足なビールを造り出す活動。
富士宮市・柚野を拠点に活動する、農家であり猟師でもある深澤道男さん。
「ゆのむら本舗」という屋号を掲げ、地ビール原料、米、野菜などを作っている。
開発商品の一つが「フジヤマLOVER'Sセゾン」。
水だけでなく、麦芽とホップも富士宮産にこだわった「本格的な」地ビールだ。

2010年、柚野地区でまずは大麦の栽培を開始。
同時に、都内でセミナーを受講するなどビール造りの勉強をスタート。
2013年、静岡市にあるクラフトビール醸造所の「アオイブリューイング」と連携し、
自家栽培の大麦を使用した「しずおかゴールデンエール」を商品化。
「すべて富士宮産」に向けた第一段階として、麦芽が富士宮産の地ビールの誕生だった。

(c)ゆのむら本舗
続いてホップの自家栽培も開始(写真はホップ収穫時期の8月撮影)。
2016年、御殿場市の醸造所「御殿場高原ビール」の協力を得てビールを試作。

(c)ゆのむら本舗
醸造担当者は富士宮出身で、原料の特徴をよく知っていたそう。
その知識と腕によって配合の調整を重ね、
麦芽とホップを富士宮産でそろえた「フジヤマLOVER'Sセゾン」が完成した。
「鮮度のいい、選び抜いた自家製ホップを贅沢にホールのまま使えて満足しています。
自分が手間と時間をかけた原料からビールができたことに感動がありました」
取材時に試飲した「フジヤマLOVER'Sセゾン」は、フルーツのような香りを持ち、
コクのある味だった。

2016年、2キロリットル(2,000リットル)を製品化。
11月の発売後、およそ一週間で売り切れ、現在(2017年3月)は販売されていない。
大麦は11月に種をまき5月に収穫、ホップは3~4月に種をまき8~9月に収穫する。
例年、ホップの収穫後にビールの仕込みを始め、完成するのは冬のこと。
醸造所の関係で2017年中のビール販売は未定だが、
正真正銘の富士宮産地ビールに再び会えるそのときが、待ち遠しいですね。

ゆのむら本舗
TEL 090-1984-5899
固定店舗は持たず、奥様が経営する移動販売車のコーヒー店「roomcoffee」での
イベント出店・販売がメイン。2017年中のビール販売は未定。